銀行員におすすめ!FP2級のメリットと勉強時間を合格者(きんざい)が解説
- 銀行員がFP何級まで取得すべき?
- 資産運用の提案に役立つ?
- 銀行員ならFPは取りやすい?
銀行をはじめ金融機関で働くならFPは必須資格と言っても過言ではありません。世間的な認知度も高い国家資格であり、金融のプロを名乗る以上2級まで取得しておきたいところ。
とはいえ、「いつかは取得しようと思っている。でもわざわざ休日に勉強してまで、取得する価値はあるのかな?」と悩む方がいるかもしれません。
会社内でも、対外的にもFPはメリットの多い資格です。しかもAFPやCFPと異なり、更新する必要がなく永年有効。
税制の変更などに対応した知識のアップデートは必要ですが、将来も金融機関で働こうと考えている方にはコスパのいい資格。早めに取得するほど有益です。
本記事ではFP2級を取得するメリットについて、経験談を交えながら解説します。
- 銀行員ならFP2級はおすすめの資格
- 受検資格を満たすなら、いきなりFP2級受検もあり
- FP協会・きんざいどちらでも難易度に大きな差はない
- 実践で役立つ知識にするためには研さんが必要
いきなりFP2級(きんざい)にチャレンジして、実技試験に不合格後に、FP2級を取得した私が解説します。
銀行員がFP2級を取得するメリット5選
「FP2級を取得するように、と会社から言われたけど、FPは意味ないという情報も目にする。FPは取得した方がいいのかな?」と思う方も多いのではないでしょうか?
FPは業務独占資格ではないため、取得するための労力の割に評価されない資格かもしれません。ただ取得するメリットの多い資格。
- 昇格に役立つ
- 名刺に書ける
- 金融の基礎知識が身に付く
- 転職で評価されることも
- 独立も視野に入る
しかも一度取得すれば永年有効です。
メリット①昇格に役立つ
FP2級の一番のメリットは、昇格に役立つ点でしょう。銀行をはじめ金融機関では資格の取得数も人事考課に反映されます。
FP2級の取得を上級職への昇格要件とする場合も多いです。むしろ必須資格と言っても過言ではありません。国家資格であり、しかも会社内でも評価されるため、他の資格に優先して取得する価値があると言えます。
メリット②名刺に書ける
資格を取得して「このレベルの資格では名刺に書いても意味ないんじゃないかな?」と不安に思う方もいるでしょう。
しかしFPの取得者ならば名刺に記載可能。3級では心許ないかもしれませんが、「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」と書かれている名刺はよく見かけます。
「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」などと名乗れるのは、合格者のみに許されています。
「この担当は運用について相応の知識をもっているんだな。」と顧客の安心感にもつながり、業務上も有益な資格と言えるでしょう。
メリット③金融の基礎知識が身に付く
FP2級の試験範囲は税・資産運用・保険・相続・不動産など銀行員にとって、身近な分野から出題されます。
他の金融系の資格と重複する分野が多いため、一般の受検生に比べると勉強しやすい有利な資格と言えます。
さらにFPの試験範囲は様々な分野から出題されるため、多くの試験に関連する基礎知識が身に付きます。
メリット④転職で評価されることも
将来、転職を考えている方にとってもFPは有益な資格です。
主に金融業界、銀行や生命保険会社・損害保険会社・証券会社・不動産会社などで評価される資格です。必須条件とする企業は少ないですが、歓迎条件として資格手当を出す会社も。
私が勤務していた金融機関では1回のみの手当でしたが、転職サイトを見るとFP2級取得者に月2万円の資格手当が出される会社もあります。
資格手当があるなら、講座を使っても受検する価値があるかも。
メリット⑤独立も視野に入る
FP取得者にはファイナンシャルプランナーとして独立される方もいます。ただFP2級を取得したからといって、即独立はできないでしょう。
FPの資格に加えて、他に社労士資格なども取得し独占業務ができれば心強いです。加えて相応の顧客基盤があるなど収益が得られるための環境が整うまでは、独立すべきではありません。
しかし銀行員が独立して、ファイナンシャルプランナーや保険代理店に転身することは珍しくありません。FP取得をきっかけに独立も十分視野に入ります。
FP2級の勉強は銀行員だと、どれくらい時間が必要?
一般的に勉強時間は150〜300時間
全く金融に関する知識がない方が、FP2級の合格にはどの程度勉強時間が必要なのでしょうか?
一般的に、FP2級を合格するために必要な勉強時間は150〜300時間と言われています。1日2〜3時間の勉強をすれば3カ月程度で合格ラインにたどり着く計算です。
しかし、おそらくですが、金融機関に勤めているFP2保有者ならこの勉強時間を見て「いや、そんなに勉強しなくても合格できたけどなぁ?」と感じた方がいるかもしれません。
金融に対する知識があれば、勉強時間はどの程度変わるのでしょうか?
金融に関する知識があれば勉強時間はもっと短い
FP2級は、税以外にも金融に関する幅広い知識が問われます。学科試験の範囲は次のとおりです。
- A ライフプランニングと資金計画・・・社会保険や公的年金など
- B リスク管理・・・生命保険・損害保険など
- C 金融資産運用・・・投資信託・株式・債券など
- D タックスプランニング・・・所得税など
- E 不動産・・・建築基準法や借地借家法など
- F 相続・事業承継・・・贈与税・相続税など
上記の分野は他の金融系資格と重複する分野が多いため、例えば証券外務員の資格取得者ならば「C金融資産分野」についての勉強は通常よりも少なくすむでしょう。
私(受検当時:証券外務員一種、税務3級など取得済み)の勉強時間はトータルで100時間程度でした。
金融機関に勤めて真面目に勉強している方なら、もっと短期間で合格できるのではないでしょうか?
ただし、全く勉強しない(いわゆるノー勉)では合格はできないでしょう。
FP2級の受検資格は?銀行員ならいきなり受検できる?
「FP2級受検してみようかな。でも、まだ3級は取得していないんだけど、段階を得て受検した方がいいのかな?」と悩む方がいるかもしれません。
金融機関に勤めている方なら、いきなりFP2級を受検するという手もありです。FP2級には受検資格があるため、事前に確認しておきましょう。
私がいきなりFP2級に合格した経験を解説記事もありますので、よろしければご覧ください。
FP2級の受検資格は4種類
そもそもFP2級には受検資格があり、公式サイト(一般社団法人金融財政事情研究会HP )を見ると、次のように記載されています。
- 3級FP技能検定合格者
- FP実務経験2年以上
- AFP認定研修の受講修了者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
①FP3級に合格する、②2年以上の実務経験を積むの2種類がオーソドックスな受検資格です。
まずはFP3級の合格を目指すのも悪くない選択肢ですが、金融機関で2年以上働いているならいきなり2級を受検することも可能。
ちなみに具体的な実務経験は次のとおりです。
FP2級の実務経験の具体例|実務経験2年以上でいきなり受検できる
ちなみに実務経験は自己申告制ですから、事前に自分が該当するか要件を確認しましょう。万が一、事実と相違していた場合は、資格が取消される恐れもあります。
実務経験の具体例
引用:一般社団法人 金融財政事情研究会HP
- 銀行、保険会社、証券会社、クレジット会社等の金融機関に勤務している方
- 保険会社の代理店の職員
- 税理士、公認会計士、不動産鑑定士、宅地建物取引士、社会保険労務士、中小企業診断士、弁護士、司法書士、行政書士などで資産に関する相談業務に従事している方
- 会計事務所の職員
- 不動産会社、建設会社など土地建物の取引・建築・相談業務に従事している方
- 投資顧問会社の職員
- 生活協同組合などの共済等担当職員
- 商品先物取引会社の職員
- 一般事業会社および官公庁の福利厚生担当者および金融・財務・経理担当者
- 商事会社の商社金融担当者、商事会社やコンピュータ会社等の金融機関営業担当者および金融機関向けソフト開発担当者
銀行での勤務経験は問題なく実務経験に該当します。
FP3級未受検だけど、いきなり2級受けても大丈夫?
「2年以上金融機関で働いているから、受検資格はある。でも、自分はいきなり2級を受検しても合格できるかな?」と不安に思う方がいるかもしれません。
いきなりFP2級を受検して、合格できる可能性は十分あります。しかし、試験慣れしていない方に無理があるかもしれません。
悩んだなら、市販のテキストを読み判断するのがおすすめ。もし「難しくて、何が書いてあるのかよくわからない。」という方は3級から受検してみましょう。
- 試験慣れしていない→3級からの受検がおすすめ
- 市販のテキストを読んで理解できる→2級からの受検がおすすめ
詳しくは、いきなりFP2級に独学で合格した私の経験談を書いた記事をお読みください。
≫ いきなりFP2級は無謀?独学合格者(きんざい)が勉強法を解説
FP協会?きんざい?銀行員が受検するならどっち?
FP技能検定はFP協会ときんざいの2つの団体で実施されています。結論としては、どちらの団体で受検しても合格に大きく影響しません。また、資格の価値もどちらで団体でも同様です。
とはいえ「どちらの団体で受検すればいいか悩む。」という方がいるかもしれません。
以下で詳しく解説をしますので、団体別の実施内容の違いをご覧いただいて受検団体を決めてください。
- きんざいの方が受検会場が多い
- FP協会の方が合格率が高い傾向
- きんざいの方が実技試験の種類が多い
- 合格証書の種類が違う
私は会場が近いため「きんざい」で受検しました。
きんざいの方が受検会場が多い
きんざいの方が実施している会場が多く、都心部でなくても受検できます。自宅近くから受検しやすい方も多いでしょう。
FP協会の試験を受検地はこちらから確認できます。
≫ 3級・2級 試験会場一覧|特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会HP
きんざいの試験を受検地はこちらから確認できます。
FP協会の方が合格率が高い傾向
学科試験は同じ内容ですから難易度は同じ。実技試験は内容が異なりますが、合格に大きな影響を与えるような差はありません。
しかしFP協会の方が合格率が高いです。
きんざいの方が実技試験の種類が多い
きんざいの方が実技試験の種類は多いです。苦手科目がある方はきんざいを選ぶのも手。
FP協会の方は問題数が多いといった特徴もあります。
3級の実技試験
- FP協会の3級実技試験
- 資産設計提案業務
- きんざいの3級実技試験
- 個人資産相談業務
保険顧客資産相談業務
2級の実技試験
- FP協会の2級実技試験
- 資産設計提案業務
- きんざいの2級実技試験
- 個人資産相談業務
中小事業主資産相談業務
生保顧客資産相談業務
損保顧客資産相談業務
合格証書の種類が違う
合格後にもらえる合格証書の種類が違います。しかし証書が異なるだけで、どちらもFP技能検定の合格証書として有効であることは変わりありません。
FP技能士センター|合格後の特典?
晴れてFP2級に合格できれば、2級ファイナンシャル・プランニング技能士と名乗れます。さらに、FP2級合格者にはFP技能士センターの会員に加入の案内が届きます。
預かり資産担当やFPとして活躍されるならば、会員証が取得できる会員になるのもありかもしれません。
私は特に加入するメリットは感じず、加入しませんでした・・・
会員に加入すべき?会員証や手帳・専門誌がもらえるメリットあり
FP2級合格後にFP技能士センター会員の案内が届きます。会員になると次のような特典が。
- 顔写真入りの会員証
- 月刊「KINZAIファイナンシャル・プラン」の毎月送付
- 会員専用ウェブサイトの活用
- 「FP技能士手帳」などがもらえる
- 各種セミナーへ会員割引価格で参加できる
特典は多いですね。会員証はプレミアム感もあり「欲しい!」と思う方も多いのではないでしょうか。
「こんなにメリットが多いなら加入しても良いかな。」と思った方へ。実は会員には年会費が必要です。加入前によく検討しましょう。
留意点もあるので入会の際は検討を|年会費と継続学習の義務
入会に関してはメリットだけでなく義務も課せられるので、事前に把握しておきましょう。
- 年会費が必要
- 正会員には継続学習が必要
年会費が必要
入会者は会員区分に応じて、年会費を支払わなければいけません。
- 正会員 :11,880円
- 準会員A:11,880円
- 準会員B: 9,240円
- 準会員C: 3,960円
準会員と正会員の違いは、専門誌や書籍などを受け取る特典が異なる点です。準会員Cでも会員証と手帳がもらえます。
さらに正会員の場合は、継続学習をしないといけません。
継続学習が必要
正会員には継続学習が義務付けられます。所定の単位を取得する方法で評価されます。
「継続テスト」や「FPドリル」、所定のセミナーの受講等により、級数に応じた所定のポイントを取得しないといけません。
こうした留意点もあるせいか、私の周りのFP取得者で入会された方はいなかったです。
FPで独立する、セミナーで講師をするなどを考えている方であれば、会員になるのもいいかもしれません。
銀行員はFP1級まで目指すべき?
FP2級を取得後は最難関のFP1級まで目指すべきでしょうか?FP1級は金融機関で働いても取得者の少ない資格で「すごい!」と評価される可能性も高いです。
FP1級の合格率は10%程度と難易度が高く、取得者も少ないため目指す価値のある資格と言えるでしょう。
- 年収アップの可能性も高い
- 独立開業も十分検討できる
- 副業でも効果を発揮する
FP2級のメリットに加え、一部の会社では収入アップに直結する資格。FP2級を取得したのなら、最難関のFP1級までチャレンジしてみましょう。